リンク税によりブログやニュースサイトが消滅するかもしれない話し

通称「リンク税」ってなに??

EUの改正著作権法が可決されました。この3月のことです。

EU議会での「指令」ということなので、これから2年程度をかけて、EU連合加盟28カ国が具体的な法律を各国で制定します。

内容は、ハイパーリンクを貼るだけでリンク先に著作権料を払わなければならないという法律です。著作権所持者側から言うと、著作権を持つパブリッシャーなどが自分の記事にリンクを張り引用した人に著作権料を請求することが可能になります。

これは厳密には税金ではありませんが、通称でリンク税と呼ばれています。


なんでこんな法案が可決されてしまったのか

制度の趣旨は、無造作にニュースサイトなどに好き勝手に貼られるリンク先記事の著作者の権利を守ることにあります。

しかし、真の目的はヨーロッパでGoogleFacebookYouTubeなどのアメリカのテクノロジー企業の覇権支配をなんとしてでも食い止めたい思惑が見え隠れします。

Googleニュースは、Googleの社員ではない人間が書いた記事をリンク先として自サイトに載せることによって大きな収益を上げています。

つまり第一義的には、ハイパーリンクを貼った人物本人ではなくそれが貼られているサイトやプラットホーム自体に請求つまり責任追及をすることになります。

実は過去にスペイン・ドイツ・ベルギーの出版社や新聞社がこの件でGoogleと争ったことがありました。いずれもGoogleに勝訴しGoogleの排除に成功したものの、Googleの検索における立場が強すぎて事実上Googleにアタマを下げてもう一度載せてもらった事がありました。

この度はEU連合総出での喧嘩です。Googleも今度こそ撤退を余儀なくされるかも知れません。

そして、これがもし近い将来厳格に適用されることになると、我々の書いているブログ内の「引用」にも全て著作権料が発生します。はてなブログというプラットホームが巨額の請求を受ける可能性があります。

つまりはてなブログは事実上消滅するしかありません。もしくは極めて限定的な記事しか書けないブログシステムになります。今のところリンク税は2~3単語のテキストリンクくらいなら許す方針としています。
また運営側も各ブロガーの好き勝手書く記事に常に目を光らせなくてはならなくなります。それは事実上不可能です。

これから起こるのは今のところEU内、つまりEU加盟国内の著作物に対するリンクが対象となります。しばらくは多くの日本人にはそれほど関係ないでしょう。


我々個人にもある日突然請求書がやってくる

今のところブロガー個人に請求が来る可能性があるかはわかりません。それは各国の立法によりこれから制定されることになります。

EUの、単なるアメリカへの対抗措置として行われているうちは我々日本人は運良く蚊帳の外にいることができるでしょう。しかし近年世界中で著作権に対する権利保護の意識が高まっていることは事実。

もしこれが世界で当たり前の思想として定着するようなことになると、ある日突然あなたの元にも請求書が届くかも知れません。

日本人が一番読んでいるニュースサイトYahooニュースも消えてなくなることになります。

日本人は著作権に対する意識がいまだに低いです。

我々個人個人が著作物や引用の本当の意味について考え、著作物・著作者を正当な権利者として認識した上で行動したり、ブログで言えば記事を書く必要が出てくるでしょう。