税理士は少し前から受難の時代だが、それに拍車がかかりそう

税理士の未来は本当に暗いのか??

税理士という職業が今度どのような役割を担っていくかは色々不安視されています。

単純作業の記帳代行や申告業務は、今後AI技術の進歩やソフトウェアにより会社側の手作業で簡単に済む世界がやってきます。そこではもはや税理士は不要です。
もうすでに一部はそうなってきていますが、毎年その範囲も速度も増していくことでしょう。

元来、税理士は経営者の良き相談相手として、法人税の申告や記帳代行だけでなく経営個人の申告や相続、また事業継承などのアドバイザーとしての役割がありました。


先月大きな損害賠償請求事件で税理士法人敗訴の判決が下りた

先月、税理士法人が億単位の損害賠償を負うという判決が下りました。東京高裁です。事実上の確定判決です。

これは、単純に顧客への説明ミスが発端でした。節税を指南したつもりが、課税リスクの説明をせずに実際課税されてしまったというミスです。課税の可能性および課税された場合の金額を試算していなかったことが敗訴の決め手となりました。

税理士法人無限責任を負います。そして損害賠償です。金額は3億2,900万円。
確かに実際はプロとして初歩的なミスです。ただ、自信満々だったので当時説明していなかっただけかも知れません。少しのミスが大きな代償を伴うものとなりました。大した顧問料ももらっていないのに。


今後はアドバイザー的税理士はほとんどいなくなるかも知れない

 最近顧客が税理士法人や税理士を訴えるという機会が増えてきました。その最たるものが上記の事案です。それは過去によく存在したタイプの税理士という職業が割に合わなくなっている証です。
ゼネラリストとしてのアドバイザーはそういうリスクを常にはらんだ仕事です。

今後はそういうリスクを避ける税理士が増えることになるでしょう。単純作業の仕事で稼げなくなること、および複雑な税制改正・租税特別措置が次々と出てくることにより税理士自身が全てのルールを把握することがかなり難しくなります。

専門分野細分化は必要な流れでしょう。細かく分かれた部署を組織化して税理士法人として生き残りをはかる流れはすでに起こっています。

そして未来はこれまで日本の経済を支えてきた中小企業が流行らない時代です。

古き良き、「同志・社長と税理士先生」のような時代はもうやってこないかと思うと少し寂しくなります。