消費税を払わなくていい免税事業者についてもう一度考える

消費税はみんなに同じシチュエーションで同じ税率が適用されるのである意味で公平だが、余裕がない人には負担が大きい税

これまで何度か行われてきた消費税増税は、ずっと子育て世代や年金世代の社会保障のためと言われてきました。しかし、現実的には大企業や高額所得者の減税の財源に充てられてきました。


実際のところ、消費税は経済力に関係なく広く国民に適用される税で、低所得者層にとっては支出割合的に重い負担を強いられます。それが本当の公平なのかと問われると少し疑問です。

国民個人個人には存在しないが、事業者には消費税を払わなくていい免税事業者というものが存在する

いよいよ3度目の消費税増税が迫ってまいりましたが、ここで一度消費税の納税義務のない免税事業者についてあらためて考えてみたい。

会社や個人商店のような事業を営む団体や個人は、売上金が少ない場合はお客さんから受け取った消費税分の金額を税務署に納める必要がないという免税制度があります。

例えば、ビールを1杯540円でお客さんに提供していたとして、そのお店の売上金額が少ない場合、受け取った消費税相当分の40円はお店がもらっていいということです。540円をいかにも消費税を納税しているように「税込」と表示することも合法です。外から見て、そのお店が免税業者か課税業者かはわかりません。

境界となる売上金額は、1,000万円ちょうどです。それを超えると強制的に消費税の納税義務が生じます。以前はそれが3,000万円の時代がありました。平成15年の事業年度からその金額のカウント基準が下げられました。

3,000万円の売上は、特に個人商店などではかなり儲かったお店などでないと出せない金額だったので、納税義務者がぐっと増えることになり当時はちょっとした騒ぎになりました。

その増えた納税義務事業者ですが、それでも現在は不況真っ只中。日本の法人・個人事業主合わせた全事業者数約800万のうち、約65%(推定)が免税業者です。特に個人事業主は75%(推定。事業者全体の割合で見ると約85%)が免税事業者です。

消費税増税により儲かる免税業者もある!?

免税事業者は仕入れにかかる料金の消費税は当然払います。もちろん消費税増税により仕入れ代金が上がるので、負担は増大します。

しかし基本的に仕入れはそのお店が提供する商品よりかなり安い値段であることがほとんどで、増税後も売上が安定しており、増税分が商品やサービスに上乗せできる限りは増税により儲かるという側面があるのです。

8%から10%への増税によりビール1杯分の仕入れが216円→220円・お店で出すビールが540円→550円。差額6円が上乗せして儲かります。

もちろん、売上が1,000万円弱のビジネスですから、事業者もギリギリの経営をしているところがほとんどです。しかしそれを逆手に取って1,000万円をわざと超えないように組織をこまかく分けて、納税義務が発生しないように上手に運営している事業者もあるのです。


ただ、そういった考えを封殺しようという大きな動きも出てきています。

それについては近々また書きたいと思います。